今日は蓄音器の修理2020年05月03日

コロムビアNG-101
今日も夏のような少し暑い、良い天気の横浜です。

今日はラジオではなく、蓄音器を直しました。
ニッチク(旧コロムビア)のNG-101型という、戦時中のポータブル蓄音器です。敵性語排斥のために日本コロムビアが日蓄工業に変わり、NITTIKUブランドになったのは昭和17(1942)年です。この頃にはすでに一般向けの蓄音器の生産は禁止されていました。軍の慰問用などにごく少数作られたものでしょう。

本来ならクロス張りになっているケースが板にニス塗りになり、メッキしてあるはずのトーンアームも黒い塗装になっています。金具も最小限になり、貧弱な構造になっています。戦時中の歴史的な品物として入手したのでもちろん音質など期待したわけではありませんが、ゼンマイが生きているのでレコードをかけてみました。

音は出ますがひどいビリ付きがあって聴けたものではありません。サウンドボックスのオーバーホールを試みます。コロムビアのサウンドボックスは簡単に分解できます。4本ずつのネジを外してカバーを外してみると、振動板を押さえているゴムのリングが硬化して機能していません。振動板はどうやら本来のジュラルミンではなく、アルミのようです。これでは音は期待できないでしょう。ゴムを交換するのですが、半分溶けて張り付いてしまって簡単に外れません。振動板を傷めないように細いドライバで少しずつはがして取り除きます。新しいゴムを入れて組み直して、針のトンボも調整します。車のキャブのOHとちょっと似ています。
簡単に書いてますが、実際には4回ほど分解、調整を繰返しました。

まだ少し歪みますが普通に聴けるようになりました。音は悪いですが、戦時中にここまでのものを作ったことは評価して良いのではと思います。もっと代用品を使った蓄音器も作られたようですが、統制で数も少なく、あまりに質が悪すぎて残っていないようです。