常設展の改良2021年05月16日

戦時下のラジオのコーナーにRCAの当時最新のポータブルラジオ BP-10を展示しています。このとなりに同時代の国産ポータブルラジオ「ニッサンポータブル」を展示しました。名前のとおり日産自動車と同じ日本産業グループの会社の製品です。RCAがmT管で超小型スピーカが鳴る4球スーパーなのに対して、こちらはベースがない特殊な小型真空管を使った2球再生式で片耳レシーバ付きです。

日本製ポータブルにも、もう少し高級なものもありましたが、ストレート型の4球式で小さめのトランク型の大きさになりました。近いサイズで比較するとこうなります。

ニッサンポータブルの発売は1941年、年末には太平洋戦争が始まる年です。宣伝にはさすがに娯楽用を前面に押し出すわけにはいかず、停電時の非常用、近海漁業用、警防団活動、報道用などの特殊用途向けとされています(一応「旅行に」も用途に含まれてはいます)。

BP-10は少数ですが発売時の1940年に日本に輸入され、『無線と実験』誌に詳細な記事が掲載されました。技術に明るい日本人は相手のレベルを知っていたのです。このレベルの差は軍用無線機の性能や生産能力の差に直結しました。悲しいですがこれが現実です。